【Vol.4】ぺいという男
「#ちょっと見てみぃひん?」は、皆さんが少しでもラグビーを身近に感じれるようにチームやラグビーそのものについて綴るコラムです。
ざっくばらんに、堅苦しくなく、友達や知り合いから「ちょ、これ見てみぃひん?」っと誘われた感じで見てもらえると嬉しいです。
まいど。広報の菊地です。
今回は、レッドハリケーンズ大阪に所属する、とある選手をピックアップしていきたいと思います。
その選手は"ぺい"こと原山光正(以降、ぺい)選手。
ぺいは今シーズンにコラコーラレッドスパークス(以降、レッドスパークス)から移籍してきた選手です。
同じタイミングで移籍した"ほっしゃん"こと細野祐一郎選手、そして先日入団発表した"たいち"こと吉澤太一(以降、太一)選手とは、レッドスパークス時代から共にラグビーに明け暮れた仲間です。
そんなぺいは、他の選手とは少し違った経歴を持っています。
社員選手、プロ選手、チームの廃部、そして移籍。
中々の荒波に揉まれレッドハリケーンズ大阪にやってきました。
今回は、そんな様々な経験をしてきたぺいにフォーカスして、紹介していきたいと思います。
遡ること5年前、ぺいは福岡県にあるレッドスパークスに入団しました。
当時、社員として午前中は働きつつ、午後からはグラウンドで練習する、いわゆる社員選手として所属をしていました。
しかし、仕事も体を使う重労働、オフの日は通常の社員の方と同じく1日社業にあけくれ、中々思ったようにコンディションもメンタルもコントロールできてない日々が続いていました。
地元は京都のため、長期のオフには帰省しリフレッシュする…中々ラグビーに集中できない1年目だったそうです。
2年目から試合に出れるようになり、ある感情が生まれてきます。
「もっとうまくなりたい」
当時中学から仲のいい地元の同級生である坂手選手(現埼玉ワイルドナイツ)が日本代表に選出されるなど、身近にいた人たちが脚光を浴びていくことに焦りを感じていきます。
同じような環境だった同級生の活躍に、周りの人が感じている以上に差や劣等感を感じていたようです。
そこで、プロになる決心をしました。
奥さんにも「やりたいことはチャレンジしたらいい」と、周りからの後押しや協力も経て、社会人4年目を迎える春にプロ選手としてスタート。
しかし、プロ選手になりたての当時、ぺいはとにかく焦っていたようです。
それは、「結果」という見えないプレッシャー。ケガをした終わるといった断崖絶壁のふちに立たされているような緊張感。
その見えないプレッシャーを人一倍感じてしまったぺいは、どんどん持ち味が出せず消極的なプレーばかりを続けてしまい、大好きだったラグビーが嫌になっていったそうです。
”とにかく結果を出さないと”と、自分を自分で苦しめるパターンですね。一番辛いやつですね。
そんな時に助けてくれた人も自分の周りにいる人たちでした。
それは現東京サントリーサンゴリアスに所属している木村貴大選手、そして同じくレッドハリケーンズ大阪所属の太一でした。
太一は当時から社員選手でありプロ選手ではなかったものの、セブンズ日本代表やオリンピック候補と、トップの組織に身を置いている立場であったのもあり、自身が思う考えを話してくれたそうです。
そこから考え方が大きく変わり、今まで猪突猛進だったぺいは、少し立ち止まって考えるようになったようです。
どう時間を使ったらいいか、どう力を抜いたらいか。
オンオフの切り替えをコントロールして、とにかくラグビーそのものを楽しむことにフォーカスすることにしたそうです。
「プロという環境はもちろん集中できるけど、覚悟が本当に大事。自分の行動に責任を持たないといけない。」
オフもうまく使えるようになってきたプロ2年目に感じたそうです。
そして、それは社員とかプロとか、経歴とか、そういったものは関係ないとも…。
この話は、私自身も過去に自分の父親に同じようなことを説教されたことがあるので、本当に身に染みる思いでした。
ラグビーを辞めた今となっては、その気持ちは何となくわかる気がします。
話はそれましたが、少しずつ充実した日々を送り始めていた矢先、突然廃部の話をミーティングで聞かされたそうです。
突然チームがなくなることを告げられるのですから、それは目の前が真っ暗ですよね。
当然ぺいもプロ選手なので、チームの廃部=無職になってしまうこともあり、すぐに売り込みを始めました。
その場所こそ、ここ、レッドハリケーンズ大阪。
「1番わくわくするところに行きたかった。それがレッドハリケーンズだった。」
その想いで営業し、無事入団。
とにかくチームのグラウンドで、チームから支給されたユニフォームで走れる、そんな日常が楽しくて仕方がなかったそうです。
「廃部を経験して、今日あることは、明日ないかもしれないと思った。だからこそ今を、後悔しないように1日1日を大事にしよう。」
こう話をしていたぺいは、ラグビー選手として、また、一人の男として大きくなったのは間違いないと思います。
プロという立場で且つ廃部という出来事は、もしかするとペイを更に成長させるギフトだったのかもしれません。
ちなみにわれらがボスであるヨハンアッカーマンHCもこう話しています。
「success is written in the ice, but tomorrow the sun will shine.」
(訳)
「成功という文字は氷の上に書かれたものである。しかし、翌日には日が昇り、氷は解け、その成功は過去のものになる。」
昨日の成功は、あくまで目的に対するプロセスの一部である。
だからこそ、一日一日を大切にしていかないといけない。
ぺいはこの話を聞いたとき、やっぱりドコモに来てよかった、そう思ったようです。
ぺいもまたヨハンにインスパイアされた1人ですね。
ドコモに来て早4か月。
ドコモでの目標や、この先どうしていきたいかを尋ねてみました。
「試合に出ることはもちろんだけど、ぺいがチームにいてよかったなと思われるのが今の目標。
将来はスポーツに携わっていくか、趣味に関わる何かをしていきたい。
でも今は一日一日大切にして、ラグビーを全力で頑張りたい。」
自分にとって仕事にもなったラグビーとは?
こんな質問もしてみました。
「自分を表現できる場所。ポジションによって性質が違うのが、ラグビーの面白さである。みんな違くて正解がないからおもしろい。」
深いですね。
この質問を投げかけた私自身、自分だったらなんて答えるんだろうと考えてしまいました。
このコラムを見ている方も、自分にとって●●ってなんなんだろう?って身近にあるもので考えてみるのも面白いかもですね。
最後にファンに向けてコメントをもらいました。
「ラグビーは生で見るのが一番。ルールを知らなくても”音”で楽しめるから、ぜひ試合会場に来て体感してほしい。
そしてインパクト残せるように頑張るので応援してほしい。自身のプレーで皆さんにインスパイアしていきたい。」
最初は30分だけ話聞かせてとお願いしたインタビューも気が付けば1時間半も話していました。
ここには書ききれないこともたくさん聞けましたし、ぺいの人柄や考え方を少しでも知ることができたので、私は大満足でした。
ぺい、ありがとう!
ちなみにぺいは大学卒業時、ケガも多かったこともあり、ラグビーをやめる気でいたそうです。
それを引き留めた人こそ、レッドハリケーンズ大阪に所属している立命館大学の先輩でもある井之上明選手(以下、あきら)。
「絶対やった方がいい。後悔することになる。」
そう熱く語ってくれたあきらに、ぺいは感謝を伝えたところ…
「…………え、覚えてないわ。そんなこと言ったっけ?」
おあとがよろしいようで。
前半はぺいの今までの経歴を、後半はペイの現在と今後の気持ちを書きました。
今回も読んでいただきありがとうございます。
ほな!