コラム

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2021年5月7日公開

第8回

今シーズン、NTTドコモレッドハリケーンズのチームアドバイザーをしております、福富信也です。

今シーズン始動時、チームは明確なシーズン目標として「TOP LEAGUE トップ8入り」を掲げていました。そして、レッドハリケーンズは、4月25日(日)のプレーオフトーナメント2回戦(チームにとっては初戦)の Honda HEAT 戦に勝利し、見事その目標をクリアしました。序盤から試合のペースを握れず、自陣インゴール付近での苦しい展開が続きましたが、そんな状況でも相手に流れを渡さないのが今シーズンのレッドハリケーンズ。前半26分のマカゾレ・マピンピ選手、前半39分のローレンス・エラスマス選手、後半17分のTJ・ペレナラ選手によるトライ、そして3本のコンバージョンキックを川向瑛選手がきっちりと決めて、21-13で勝利しました。

まずは悲願達成です。サポーターの皆さん、本当におめでとうございます!

選手・スタッフは、負けたら終わりという見えない不安やプレッシャーのある大一番で、チーム史上最高となるベスト8以上を確定させてくれました。シーズンを戦う中で直面する様々な課題と向き合い、1つひとつ乗り越えてきたレッドハリケーンズファミリーを本当に誇りに思います。

レッドハリケーンズの歴史に新たな1ページを刻んだことは間違いありません。長く苦しんだ過去からの脱却のため、課題を直視し、下沖正博GMをはじめとしたフロントスタッフ、選手、コーチングスタッフ、メディカルスタッフなど、皆が本気で改革に取り組んだからこそ成し得たことです。「PLAY TO INSPIRE」「素敵な体験を周囲に届けること」を365日24時間意識してやり抜いたことを、サポーターの皆さんにも誇りに思ってもらいたいです。

当コラムでは、チームワークの強化・チーム力の最大化、いわゆるチームビルディングという立場でレッドハリケーンズをサポートする私が、”チームがどのような課題に直面しているのか” “チーム内にどのようなリスクが潜んでいるのか”、そのうえで ”どのような改善策を処方したのか(するつもりか)” をわかりやすくご紹介しています。一般的には、技術・戦術・フィジカル的な要素がチーム強化につながる ”重要なファクター” だと認識されていますが、このコラムでは ”チームワーク” という側面からアプローチしていきます。

チーム史上最高位を確定させ、未知の領域への挑戦権を手にしたレッドハリケーンズ。ここから先はもう、失うものは何もありません。むしろ、得るものしかない戦いが待っています。今後の対戦相手は強豪揃いで、常勝が義務付けられているがゆえのプレッシャーがあることでしょう。だからこそ、私たちはプレッシャーから解放され、無心で、楽しく、のびのびと、幸せを噛み締めながら戦うことが重要になってきます。

今後の試合はすべてが強豪との対戦となりますが、1試合でも多くこの最高の仲間と戦いたいという一心で毎日を過ごしています。皆さんの熱い声援が必要です。ぜひ、5月8日(土)トヨタ自動車ヴェルブリッツ戦も応援宜しくお願いします。

それではコラムVol.8をお楽しみください。

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アドバイザー就任以来、私がこだわり続けたこと

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勝利を約束できるチームは世の中に1つも存在しません。

試合によっては『気の緩み』があっても勝ててしまうこともあります。逆に、文句のつけようがない内容だったとしても負けてしまう時もあります。

試合の勝敗は、自分たちではコントロールできない領域のできごとなのです。だからこそ、私たちは『自分たち次第でコントロールできる』点に全エネルギーを注ぎ込むことが必要なのです。

では、そのコントロールできることとは一体何なのか……。

食事・睡眠・体のケアを怠らないこと、ミスを引きずらないこと、工夫をすること、仲間と丁寧なコミュニケーションを図ること、わからないことを曖昧にしないこと、日常から「ま、いっか」を排除すること……。

つまり、勝利を追求する ”姿勢” において一切妥協しないこと、ここまでが私たちにコントロール可能なことなのです。

上記の内容はミーティングの場で、私が繰り返しチームに伝えたことです。良く知られた言葉で表現するならば、「人事を尽くして天命を待つ」ということです。私がレッドハリケーンズのチームアドバイザーに就任したのが昨年12月。この半年弱の期間で、レッドハリケーンズの選手・チーム関係者にメッセージとして伝えたことはいたってシンプルでした。この言葉のとおり、取り組む姿勢が重要であり、勝利(結果)というのはその副産物に過ぎないということでした。

余談ですが、レッドハリケーンズのチームアドバイザーに就任して以来、私は密かに貫いていることがあります。それは、チームに対して「勝つ」「勝利」という言葉を使ったことがないということです。これは私の個人的なこだわりに過ぎませんが、この言葉を使わずしてチーム史上最高位を確定にいたったのはささやかな誇りです。

「この試合は絶対に勝て!」とか「勝つこと以外は考えるな!」などという指導者もいます。その必勝の信念がチームを強くするのだと思いますが、スタッフ全員がそうやって選手を煽ってしまっては良くないので、私のスタンスとしては「勝とうと思って勝てるチームは存在しない」「気負い過ぎるとチームのバランスを欠く」「勝っておごらない、負けて落ち込まない」という価値観を一貫し、勝ちたいという気持ちを「取り組む姿勢」に注ぎ込んでほしいと伝えるようにしています。もちろん、私が勝利を軽視しているわけではなく、誰よりも勝利にこだわりたいからこそ、日々の取り組みにフォーカスしているのです。

ヨハン・アッカーマン ヘッドコーチもかつて、私との会話の中で「役割と責任を果たすことがとても重要」「(いかなる結果であろうと)全力を尽くした上での結果については受け入れる」というニュアンスを口にしていて、私と同じく “プロセス重視のヘッドコーチ” だという印象を受けました。

チームアドバイザーとしての私の使命

私はチームに関わり始めた当初から、永続的な「チームの文化」、言い換えれば「良き伝統」「チーム風土」を根付かせることが最終的な使命だと自覚して取り組んできました。この言葉は、コラムVol.1、Vol.2でもお伝えした「チーム理念」「チームスローガン」という言葉と同様、抽象度が高く理解が難しい上に、一朝一夕で作られるものでもありません。

そこで、具体的な話を展開していく前に、まずは「文化」という言葉の辞書的な意味をおさらいしたいと思います。

文化(ぶんか)/ カルチャー

人間の生活様式の全体。人類がみずからの手で築き上げてきた有形・無形の成果の総体。それぞれの民族・地域・社会に固有の文化があり、学習によって伝習されるとともに、相互の交流によって発展してきた。カルチャー。

民族や社会の風習・伝統・思考方法・価値観などの総称で、世代を通じて伝承されていくものを意味する。

参照)
goo辞書|出典:デジタル大辞泉(小学館)※一部抜粋
https://dictionary.goo.ne.jp/word/%E6%96%87%E5%8C%96/

私の言う「文化」という言葉の意味については、辞書的な解釈と同義です。レッドハリケーンズというチームにおいて、世代を越えて伝承していく「価値観」「風土」「マインド」という言葉に置き換えることもできるかと思います。

今シーズンの最重要テーマである「凡事徹底」は、まさにチーム文化の根幹を成す考え方です。ところが、まだ皆さんにお伝えしていない重要なことがありました。

凡事徹底の実現のためには、実はもう1つ欠かせない要素があるのです。今回のコラムでは、スポーツ、ビジネス問わず、パフォーマンスアップに欠かせない「心の安全」という言葉をご紹介していきます。

そこで、まずは、このコラムでも初めて出てくる「心の安全」というキーワードについて、少しご説明したいと思います。

繰り返しになりますが、「心の安全」とは、スポーツチーム、ビジネス問わず、チームがパフォーマンス発揮していくうえで絶対に欠かせない重要な概念です。

「これを言ったら、人間関係にヒビが入ってしまうのでは……」
「馬鹿にされるかも……」
「陰口言われるかな……」
「評価を下げられたらどうしよう……」
「余計な言質を取られたら嫌だな……」

という心配のないチーム状態のことを指します。

例えば、「目標達成のために必要な提案をしたけれども、反逆的と捉えられて評価を下げられた」というような出来事は、「心の安全」が担保されていない状態と言えます。もし、チーム内でそのようなことが起これば、「口は禍の元」とばかりに皆が黙り込みます。皆が黙り込んだチームは一見静かで平和そうですが、それは「偽りの平和」に過ぎません。メンバーの心の中は疑問・迷い・不信感が拭えないままで、パフォーマンスにも悪影響を及ぼします。

真のチームは、目的・目標達成のためにお互いの思っていることをきちんと発信し合うことができます。人それぞれ経験してきたことが違いますし、その人の置かれている立ち場などによって、見え方は異なるはずです。同じ練習をしても、感じ方は人それぞれでしょう。

私たちは、幼少期から集団優先という価値観で育ってきました。なので、波風立たせないこと、つまりは自分の考えを押し殺すことこそがチームワーク行動だと信じてきました。そして皆と同じ考えでいることがチームへの忠誠心だと考えられてきました。

しかし、一方で「十人十色」とか「千差万別」ということわざがあるとおり、「人は皆違う」という当たり前の事実も存在します。感じ方が皆違うのに意見さえも言えないジレンマでモヤモヤしていては、パフォーマンスは上がるはずもありません。

そこで、ここからは「違いを武器にする」「お互いの意見を出し合う」「納得解を導き出す」というポイントをお伝えしていきます。

議論のコツは、勝ち負けを意識しないコト

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ここで1つ。皆さんにもぜひ考えていただきたいことがあります。

仮に、あなたがレッドハリケーンズの一員で、ミーティングに参加しているとしましょう。そこで、A選手が皆に対して自らの考えを発言しました。すると、B選手がその意見とは異なる考えを提案しました。A選手はヒートアップし、自分の正当性を強く主張するとともに、B選手の意見へのダメ出しを始めました。

これは完全に架空の話ですが、このシチュエーションで自分とは異なる意見を言われたA選手はどんな気持ちだったでしょうか。また、ミーティングに参加していたあなたは、この2人のやり取りを一体どのように感じたでしょうか。

A選手としては、 「否定された」「プライドを傷つけられた」「人前で恥をかかされた」「個人攻撃された」など、様々なネガティブ感情が湧き出てきたのかもしれません。

そして、皆さんがミーティング参加者だったら、 「あの2人はしばらく気まずい関係になりそうだな」「これから、あの2人がギクシャクしないといいな」という不安な気持ちになるかもしれません。

成長路線のチームの場合、誰かが自分と異なる意見を言ったとしても「否定された」という被害妄想を抱きません。十人十色、千差万別という言葉のとおり、「みんな違って当然」というマインドなのです。そして、意見の食い違いを人間関係にまで引きずりません。「皆違う」という極めて当たり前なことを理解しているからこそ、深く理解し合うために(表面的ではなく)腹を割ったコミュニケーションを取ろうとします。単に結論だけを見ず、「あなたは、なぜそう感じたのか」という背景に関心をもち、相手を深く理解したうえで、 ”両者納得の第3案=納得解” を見つけ出そうとすることが真のコミュニケーションなのです。

私たちはどうしても、議論の中で勝ち負けを意識してしまいます。否定されたら、まるで喧嘩を売られたかのように、攻撃的になる人がいる一方で、黙り込むことでその場を収めようとする人もいます。

しかし考えてみてください。仮に、正論を振りかざして議論に勝ったとしても、皆が嫌な感情を抱いたとしたら、身内に敵を増やしただけになってしまいます。議論に勝とうとすることは人間関係を捨てることを意味します。ましてや、議論をしている相手はチームメイトです。身内で不毛な消耗戦をしていては、外にいる対戦相手に勝てるはずもありません。議論に勝とうとするのではなく、相手を理解し、両者納得の第3案=納得解を導き出すことが重要なのです。

そのようにして、全員の意見が大切にされていて、安心して議論できるチーム状態を私は「心の安全」と呼んでいるのです。

コラムVol.5で「紅白戦のハーフタイムは、相手チームに対してアドバイスを送る時間」という話をお伝えしましたが、まさにそれは選手同士がフラットな関係で「心の安全」が担保されているからこそできることなのです。

また、今回のコラム冒頭に、凡事徹底の実現のためには、”心の安全” が欠かせない、と書きました。なぜなら、凡事徹底とは「誰でも知っているような極めて当たり前のことだからこそ、指摘し合うのが難しい」という特徴があります。凡事を指摘されると、「そんなこと、いちいち言われなくても分かってるよ!」「お前だってできていないだろ!」という感情論になりがちで、その衝突を避けるため、手っ取り早く「偽りの平和」へと進んでしまう危険性があるのです。

凡事徹底の実現には、誰でも知っている当たり前なことでさえも、妥協をせずに指摘し合える関係性(=心の安全)が必要なのです。

「心の安全」が担保されていないチームは、発言することをリスクだと捉えます。白い目で見られたり、責任を負わされたり、陰口を言われたりするくらいなら黙っていた方が身のためだと思い、誰も本音を言わなくなるのです。それを世間一般では「風通しの悪い組織」と呼んでいます。

偽りの平和と真の平和

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私がスポーツチームや企業のチームビルディング指導を行なう際、「偽りの平和」と「真の平和」という言葉をよく使います。

先述のとおり、「偽りの平和」というのは、意見の衝突や食い違いを恐れて黙り込む状態のことです。表面的には問題がなさそうに見えますが、各自が身を守るために黙っているだけの状態です。変な言質を取られまいと、仲間にさえ警戒心をもつこともあります。思うことがあっても言わないという選択は、その場をしのぐには有効ですが、根本的な問題解決につながらないだけでなく、時間の経過とともに事態を深刻化させていきます。最終的にはこんがらがった糸玉のように問題が複雑になって、チームは空中分解していきます。お互いのリスペクトを大前提としつつ、本音で「厳しい対話」に向き合う姿こそがチームを成長させていくのです。

連勝している時はとても良い雰囲気だったにもかかわらず、連敗すると黙り込んで雰囲気が悪くなってしまうチームがとても多い気がします。勇気をふり絞って問題点を切り出すことで、「誰かを個人攻撃したと思われてしまうのではないか」「自分のことを棚に上げていると思われないか」など、他者の目が気になるのでしょう。本音を言い合うことは「コントロール可能なコト」の1つです。

「チームメイトの発言を悪意として受け取らない」

チームにそんな約束を取り付け、「心の安全」を担保することは私の重要な仕事です。その場しのぎの「偽りの平和」を繰り返すと、その代償は計り知れないものとなるでしょう。

一方の「真の平和」とは、「人は皆違う」という極めて当たり前のことを全員が理解し、意見の食い違いを否定しません。意見衝突は日常的に存在し、それが表面化しています。チームのいたるところで議論が行われている状態です。意見の食い違った両者が、両者納得の第3案=納得解を生み出すため、精力的にコミュニケーションを図ります。練習中のちょっとしたモヤモヤ、疑問、迷い、違和感を率直に投げかけ、皆で議論し納得解を導き出すことの繰り返しが、華麗で感動的な連係プレーを生み出すのです。

果たして3人が見た図形は同じものなのか!?

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それではここで、レッドハリケーンズのミーティングで実際に行ったワークをご紹介します。

3人1組を作ったら、A、B、Cの役割を決めてください。
これから、A、B、Cそれぞれに、スライドを使って異なる図を見せます。
自分の見たスライドの図をシッカリと記憶してください。
最初に、Aの人にのみスライドを見せます。そのときB、Cの人は見ないでください。
続いて、Bの人にのみスライドを見せます。そのときA、Cの人は見ないでください。
最後に、Cの人にのみスライドを見せます。そのときA、Bの人は見ないでください。
A、B、Cそれぞれ違う図を見せましたが、実は3人は同じ物体を見ています。
どんな物体を見ているのか、3人で話し合って画にかいてみましょう。

という流れで実施しました。

正解は下の図になります。

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Aは上から見ているので「青いドーナツ型」が見えたはずです。続いて、Bは下から見ているので「赤いドーナツ型」、Cは側面から見ているので「上半分が青で下半分が赤の長方形」が見えたということになります。

きっと勘のいい方なら、このワークの意図を察していただけたのではないでしょうか。それぞれが見たものを伝え、ディスカッションし、課題を解決していく過程は、まさしくラグビーと同じなのです。

ここで、私が伝えたかったのは非常にシンプルで、仮に皆が同じモノを見たとしても、どこから見るか(視座の違い)によって、それぞれの見解は大いに違ってくるということです。このワークでは全員の主張が異なるわけですが、すべての主張が正しく、誰も間違っている人はいないのです。全員が意見を言い合うことで、初めて全体像を正確に把握できる、というワークでした。

ラグビーにおいて、正解は1つとは限りません。1人1人が見たもの、感じたこと、すべてが大切にされてこそ、正しく全体像が把握できます。「偽りの平和」で黙り込んでいては、重要な情報が欠損した状態でプレーしていることになります。それでは納得解を導き出すことはできません。

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次に、私の専門分野であるサッカーを例にご説明します。

上の図は、サッカーのピッチを表し、試合中の1シーンを切り取っています。黒チームの選手が、青チームを相手に試合をしています。

現在、黒チームのD選手がボールを保持しています(赤の点線)。D選手は、目の前にいる相手とボールの両方に釘付けのため、視野は狭くなります。 D選手をサポートするE選手も、近くに相手が密集しているため、D選手ほどではないにせよ、視野はあまり広くありません。しかし、D選手とは異なる視野を確保できています。 F選手やG選手はそれぞれ独自の視野を確保できていて、周囲に相手がいないため遠くまで見通せています。

ポジションによる視野の違いを生かし、仲間の見えていない情報をサポートすることは、技術やフィジカルに関係ないため、「心の安全」が担保されていれば誰でもできることです。
機能しているチームでは、立場や状況の異なる人たちが、それぞれの見たもの、感じたことをオープンにし合うことで補完関係を成立させています。視野が広いことは優れた選手の条件ですが、360度を常に把握することは不可能なのです。

今回はサッカーを例にご説明しましたが、もちろんラグビーでも同様です。同じ1つのシーンを切り取っても、置かれている立場、心境、視野、視座、視点が異なれば、すべてが大切な情報になるのです。より正確に全体像を把握しなければ、納得解には辿り着けません。だからこそ、皆が口を開くこと(=コミュニケーションを図ること)が大切なのです。

ベンチから感じた控え選手の意見を軽視するようでは、強いチームは構築できません。すべてのチームメイトをリスペクトし、「心の安全」を担保することでチームが活性化していきます。

最高のパフォーマンスのためには「心の安全」が不可欠!

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今回のコラムは以上となります。

シーズンも最終盤に差し掛かり、ノックアウト形式のプレーオフトーナメントでベスト8が出揃いました。次の対戦相手であるトヨタ自動車は、リーグ戦レッドカンファレンスを6勝1敗、サントリーサンゴリアスに次ぐ2位という強豪です。

勝敗はもちろん大切ですが、私の使命は、レッドハリケーンズが永続的に発展するための礎となる「チーム文化」を構築することです。チームの根幹である「心の安全」と「凡事徹底」という価値観を、世代を超えて伝承していけるよう、まだまだ頑張ります。

きっと、5月8日(土)のトヨタ自動車戦も80分間手に汗握る闘いとなるはずです。
熱い声援をどうぞ宜しくお願いいたします。

参考文献)
「勝つ」組織 集団スポーツの理論から学ぶビジネスチームビルディング(カンゼン)著者:福富信也
脱 トップダウン思考 -スポーツから読み解くチームワークの本質(東京法令出版)著者:福富信也

Profile(プロフィール)

福富信也(ふくとみ・しんや)
Jリーグ「横浜F・マリノス」のコーチを経て、2011年東京電機大学理工学部に教員として着任(サッカー部監督兼務)。また、その傍ら、チームのメンバーが互いに違いを認め、尊重しあい、永続的に学びと発展のあるチームづくりを支援する株式会社Humanergy(ヒューマナジー)を2015年に設立。

【実績 等】
日本サッカー協会公認指導者S級ライセンス(Jリーグ監督必須ライセンス)で講師を務め、Jリーグトップチームや年代別日本代表を指導。2016-17シーズンに「北海道コンサドーレ札幌(J2優勝|J1昇格・定着)」、2018-19シーズンに「ヴィッセル神戸(天皇杯優勝:ACL 出場権獲得 / ゼロックススーパーカップ優勝 等)」。その他、企業を対象にした研修実績も豊富。雑誌連載、新聞取材、テレビ・ラジオ出演など多数。著書に「脱トップダウン思考」他2冊。

参考)
2020年度チームアドバイザー就任のお知らせ https://docomo-rugby.jp/news/detail.html?id=4202
株式会社Humanergy: https://huma-nergy.com/