選手時代を通してレッドハリケーンズとの
関わりは私の大きな財産です

レッドハリケーンズでも数々のプレーでファンを魅了し、惜しまれながらも2012年に引退した冨岡耕児氏。選手時代を振り返りながら、OBとして、そして現在注力しているラグビー普及活動に携わる立場から、チームに対する思いを語っていただきました。

選手時代、そして指導者になってから感じること

私がレッドハリケーンズに加入したのは2009年。当時は日本代表経験者やトップリーグで活躍した選手が数多く入団し、海外からヘッドコーチを招へいするなど、体制が大きく強化された時期でした。資金を投入して設備の強化を行い、トップリーグ昇格という明確なビジョンに向けて、本気で取り組み始めた姿は今でも鮮明に覚えています。
特に印象に残っているのは、当時のGMが頻繁にグラウンドを訪れ、自ら社員選手とプロ選手との連携を図ってくださったり、選手の栄養管理などの環境面についても、現場の声を拾い上げ改善につなげるなど、積極的に取り組んでくださいました。選手時代を通じて、非常にいい環境を作ってもらえたと感じています。

2012年に現役を引退した後はコーチになり、自分自身が「選手を見る立場」としてラグビーに携わるようになりました。選手時代はビジネス経験もなければマネジメントの重要性をそこまで理解できていなかったのですが、コーチになって強く思うのは「指導者のビジョンとマネジメント能力」が、チームにとって良くも悪くも重要だということ。そしてそのビジョンをチーム全体で共有することが何よりも大事だと感じるようになりました。
私自身そうでしたが、現役選手はみな「チームのために」という思いで、それぞれが必死で頑張っています。ただ個々が頑張る方向がチームのニーズに合っていないと、チームの総合力につながらないということを、指導者という立場になって気づきました。
今後チームが強くなるには、個々の選手が能力を発揮することはもとより、チームが一つとなって目指すものの中で自分に何が求められているかを各選手が考えることでチームの発展につながるのではないかと感じています。

普及活動の中で改めて感じるラグビーの魅力

引退後、身の振り方を考えているときに、チームを通じて大阪府から小学校を中心としたラグビー普及活動のお声がけをいただきました。
当時から地域貢献、ラグビー普及に取り組み、しかもそれを選手のセカンドキャリア形成と組み合わせて考えられていたことに、今改めて驚かされています。
これをきっかけにタグラグビーなどを教える普及活動を始め、2年間で33校、約1万人の子どもたちに指導を行いました。
指導する立場でラグビーに触れることで、子どもたちがどんどん変化していくことを目の当たりにし、「ラグビーって本当にいいスポーツだな」と改めて感じています。運動が嫌いだったのに自発的に運動を始めるようになった子、「自分でもできた!」と自信がついて何事にも前向きに取り組むようになった子など、ラグビーを通じた子どもたちの成長に、指導先の校長先生も驚き、非常に感謝をされました。これは選手時代には気付けなかった、ラグビーが持つ面白さの側面だと感じています。

行動に意味を持たせることと
ニーズを読み解くことの大切さ

普及活動は難しいとよく言われます。「ラグビーはいいスポーツですよ」と言うだけでは、無関心層にはなかなか伝わらないことに、私自身活動を通じて痛感しました。
課題は、興味を持ってもらうための動機づけをどうすればよいか。無関心層の理解を得るには、「ラグビーを見てください」とか「ラグビーっておもしろいですよ」という一方的な情報発信だけでなく、ラグビーをすることで、その先にどんな結果が生まれるのかという提示が必要だということに気づきました。そのためには誰が見ても理解できる、説得力のある定量的な情報の提示も重要で、それを地道にやっていくことで、各地での普及活動がスムーズに進むようになりました。
やはりここでも、相手の求めている事をしっかり考え、的確にそのニーズに応えることが大事なのだと感じます。
あとはラグビーをどうすれば楽しんでもらえるか。
例えば学校訪問で、リフトアップなどのプレーから切り取られた一部分の実演を見せることがありますが、それだけではラグビーに造詣が深くないと理解が難しい。そこで、私の場合は選手にタグラグビーの試合をしてもらい、まずはパスやディフェンスなどを含めたラグビーの一連の流れを見てもらい、迫力を感じてもらいます。そうするとリフトアップが、全体の中でどのような場合に行われるものなのか、次の展開はどうなるのかということがイメージできるため、子どもたちも一つ一つのプレーに意味を見出すことができ、より楽しい体験に変えてあげることができます。

今、レッドハリケーンズでは、現役選手が足を運ぶ形で、小・中学校でラグビー教室のなどのラグビー普及に取り組まれていますが、現役選手たちが見せる躍動感は、きっと子どもたちの感動を呼び、グラウンドでの試合にも興味を持ってもらえるはずです。そのときの「以前学校に来てくれた選手だ」という親近感は子どもたちの試合観戦をより楽しいものにしてくれると思います。

レッドハリケーンズの選手たちはコミュニケーション能力も高く、優しく、性格も明るいため、子どもと接する能力に長けています。それに加え、ほとんどの選手が会社員であり、会社が掲げる「顧客満足度」という側面においても日常的に意識が向いており、ニーズを読み取る力も持ち合わせています。
それらのスキルを普及活動にも活かしていくことで、多くの人にラグビーの魅力を伝え、ラグビーファン、チームファンをつくり、彼らの前でしっかりとレッドハリケーンズラグビーを展開できることを期待しています。

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