ファンと身近に接し合えるラグビーだからこそ
ファンとのコミュニケーションがチームへの力になります。

約30年に渡りメディアの立場からラグビーを見続けてきた、ラグビージャーナリストの村上晃一氏。レッドハリケーンズの選手を含め、ラグビー選手を招いてトークライブを主催されるなど、様々なラグビー普及活動にも力を注いでおられます。
これまでの活動を通して村上氏が感じるラグビーにおけるファンコミュニケーションについて伺いました。

ラグビーは企業スポーツとして
良さを出していけるスポーツ

ラグビーは野球やサッカーという、プロ化されているスポーツと違い、日本では企業スポーツとして定着しています。まだ日本では競技人口も少なく、興行するには試合回数も少ないため、プロ化が難しいということもありますが、ラグビーという競技の特性上、企業がチームを保有することに意義を見出せるスポーツではないかと思うのです。

ラグビーは「品位」「情熱」「規律」「結束」「尊重」といった行動基準を定めた「ラグビー憲章」の下で行われるスポーツであり、海外でもラグビーは教育的に価値のあるスポーツだと捉えられています。
企業の中で仕事とラグビーを両立する選手たちがいて、しっかりとその姿勢を見せることにラグビーそのものの価値があるのではないでしょうか。

一方チームを保有する企業にとってもメリットがあります。
ラグビーチームを保有する企業は、一般の方々に親しみがある会社が多く、特にドコモの場合も、インフラである携帯電話を主軸に、だれもが知る身近な企業であり、全国津々浦々までショップがあるため、チームの認知にもつなげやすく、ラグビー、チーム、企業への関心を高めることができることは一つの強みだと思います。

先日のトークショーでも、秦啓祐選手が「会社の研修でドコモショップで接客をしていました。」という一言から会場が盛り上がったのですが、試合会場で見るラグビー選手が、実は自分たちの近くで働いているという事実に選手との距離がグッと身近に感じられたのでしょう。
リアルな話を聞いて一緒に写真を撮り、親しみを覚えると次は「試合に行ってみよう」という行動にもつながっていきます。

さらに、そういったファンとの接点において、人を育てるラグビーの価値を、企業がしっかりとアピールしてくことで、本来のラグビーの持つ価値観を日本でも深めることができるのではないでしょうか。

地道な活動でファンを増やす

私が主催するトークライブは50人規模の飲食店で開催することが多いです。選手との距離が近く、食事をしながらリラックスして話を聞ける環境がちょうどいいと感じています。
海外ではラグビー文化の一つとして、試合後に敵味方関係なくお酒を飲みながら選手同士がお互いをたたえ合う「アフターマッチファンクション」という場がありますが、それと同じように、選手とファンが垣根を越えてより身近に交流することができるのです。

ラグビーは「語れる競技」であると言われますが、例えばある選手がトークショーの中で「スクラムは釘を使わず家を建てるようなものだ」という少し哲学的な話をしたことがあります。その比喩の面白さに、会場のお客さんが食い入るように話を聞き始めます。そういった、会話を楽しめるのもラグビーが持つ面白さの一つなのです。

レッドハリケーンズの選手もそうですが、ラグビー選手はまじめで努力家が多く、フィールドでは勇ましい表情を見せていますが、ファンとの交流の場では、彼らが見せる笑顔や巧妙な語り口調にギャップのおもしろさを感じ、親近感を覚える人も多いのではないかと思います。

そんなトークショーを楽しんでくれたファンが、次回のトークショーでは知人を連れてくるなど、少しずつファンの輪が広がっていくのを感じています。

実は、ラグビーファンの年齢層は昔から変わらず40~50代が多いのですが、これもラグビーが「語れる競技」であることに起因していると思います。プレーそのものに考える余地が多くあり、じっくりと観戦できるという特性を持っているからだと思います。ラグビーは大人が楽しめる競技として今後ファンの裾野が発展していく可能性を秘めていると思います。

未来への地道な取り組みと環境整備が
ラグビー普及につながる

現在、政府はスポーツ産業の拡大に向けての方針を打ち出しており、今後、人々がラグビーに触れる機会は増加します。現在でも約6割の小学校でタグラグビーが導入されているほか、中学校の学習指導要領にも、その解説の中で球技の一例として盛り込まれることが予定されているため、子どもの大半がラグビーボールを持ったことがあるという状況が整い、一気に認知度が加速すると思います。
さらにワールドカップやオリンピックでの露出によって、競技人口の増加が見込まれます。将来的なラグビー普及に向け、まずは環境面の充実が課題で、プレーができるグラウンド数の拡大と指導者の養成が必須となります。
現在レッドハリケーンズが行っているラグビーアカデミーは、そうしたラグビー普及に向けた活動としても、非常に貴重なものだと思います。

次に、ラグビー観戦の楽しみ方を創出し、ラグビーの面白さを感じてもらえる環境も必要です。例えば、プロ野球では「ボールパーク構想」といった、試合前から観戦後までの楽しみ方を打ち出していますし、海外では、ラグビーが試合会場周辺で一日楽しめるスポーツとして親しまれています。この文化を日本のラグビー競技に根付かせることも重要ではないかと思います。

あとは、いかにラグビーのことを日常的に実感してもらうか。試合数が他競技に比べると圧倒的に少ないため、露出が少ない時期の意識付けが必要となってきます。
ラグビーと接する機会を増やすために、例えばドコモショップでの選手のトークショーなど、ラグビーを身近に感じてもらうイベントができるのは、ドコモの強みの一つだと思います。人が多い繁華街の店舗で行えば、これまで興味がなかった人も集客ができ、ラグビーを常に実感してもらいやすくなります。
レッドハリケーンズは、ドコモという企業のポテンシャルを生かしつつ、地道なファンとのコミュニケーション活動を続けることで、今後のチームの発展と将来のラグビー競技の普及・浸透に貢献できる可能性を大いに秘めていると思います。

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