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その極に達する 村上 晃一氏を迎えてINTERVIEW

2014年11月20日更新

その極に達する《3》

逆境を乗り越える力

村上:じゃあ、最後は将来ラグビー選手になってほしい子供たちや、将来日本代表になってほしい選手たち、そういう人へのメッセージも含めてお話を聞きたいんですけど。ずっとラグビーをしてきた中で、苦しい時をどうやって乗り越えましたか。なかなか伸びない時期とかあったと思うんですけど。

久富:ラグビーってチームでするスポーツで、自分のミスもみんなにカバーしてもらえるんですけど、そういう面でみんなに迷惑を掛けちゃいけないという気持ちが、苦しい時に乗り越える自分の力になりました。苦しいことでも越えないと回りに迷惑を掛けてしまうという気持ちが強かったので、投げ出すことはなかったです。

村上:一番苦しかったのはどの辺?

久富:高校ですね。本当に苦しい記憶しかないです。

村上:日々苦しかった?

久富:もう、みんな苦しんでいて。ただ、自分が辞めたり投げ出したりするとみんなに迷惑が掛かる。苦しいけどみんなで頑張ろうと。

村上:でも、そこを乗り越えるとメンバーみんな仲良くなったり。

久富:どうですかね。いまだに連絡は取ったりしますけど。

村上:箕内さんはどうですか?

箕内:苦しい時ですか。みんなに迷惑をかけちゃいけないというか、例えばフィットネスをやると、足の調子が悪い時とか、休みたいけどみんなやるし、みんなが見て分かるような怪我をしていたら別ですけど、どこが悪いのみたいに思われるのがすごく嫌でやるかみたいな、そういう感じですよ。筋肉痛でしんどくてもみんな行くし、みんな頑張っている、そういうので乗り越えてきました。昔はやらなきゃという気持ちが強かったんですけど、30歳を過ぎてからはもう、逆にそういうのを楽しもうという感じに変わってきました。

村上:しんどいことを楽しむ?

箕内:しんどい時というか全てにおいて。伸び悩む時、あまり調子良くない時でも、無駄なことって多分ないと思うんです。しんどくてもしっかりやっていれば、それがいつかはプラスになるだろうし、その状況を楽しんで、いずれプラスになるんだと常に自分で信じてやっていたかなという気はします。反対に、矛盾していることとか、これはちょっとやってもというのに対してはとても敏感です。

村上:これをやっても無駄じゃないかとか。

箕内:もちろんチームでやるとなったら、今までもそうですしやりますけど、矛盾していることに対しては敏感です。

村上:そういうときは監督に言ったりはしない?

箕内:そこまでは言わないです。その中で自分がこうした方がいいんじゃないかと細かい部分を調整したりはしますけど。同じ練習をやるにもちょっと違う視線・視点からその練習に入っていくとか、試合を想定してやるとか。年を取ると無駄に体を動かすのが嫌になってくるんです。

ラグビーから得られたもの

村上:ラグビーしていて良かったと思うことは?

久富:知り合い、仲間が増えたことです。他のスポーツよりプレーする人数が15人より多いのってなかなかないと思うので。ラグビーって本当にいろんな人が参加できるので、そういう意味でいろんな友達ができたのはやっていて良かったなと思います。ラグビーをやっていなかったら、知り合わなかった人たちが大勢いるので。全く考え方が違う、いろんな人と知り合えたというのは大きいです。

村上:ラグビーという競技にいろんな人がいるからですよね。体もいろいろだし。

久富:そうですね。

村上:箕内さんはどうですか?

箕内:世界中で仲間が増えるというのは財産でしょう。きついことをやってきたというのも、将来、自分の人生にとってすごいプラスになります。日本代表に選んでもらって、もしラグビーをやっていなかったら、この場にはいないということもあって、そういう世界にいられたのもラグビーやっていたからこそだと思う。自分たちの人生をお金の面ではなくて裕福にさせてくれているものかなと感じます。

村上:自分はこれだけは人に誇れるということありますか。自分で言うのが恥ずかしかったらお互いで言い合いましょうか。ここが一番すごい。

箕内:久富は気持ちが強いですね。

村上:気持ちが強い?

箕内:負けず嫌い。とても気持ちが強いです。

村上:スクラムの時でも。

箕内:スクラムもそうですし、チームが負けたりするのもそうです。自分自身のプレーが負けるのを認めないと言ったらおかしいですけど、負けは絶対許されない、そういうのを常に持ってやっているので、気持ちが強い選手だと思います。

村上:どうですか。箕内さんは。

久富:箕内さんは、プレーは勿論見たとおりなんですが、考え方がとても多角的にでき、いろんな視点からいろんなことを想定して、一番これがいいというのを的確にチョイスできる賢さがすごいと思います。あと、いろんな選手の気持ちを察したり。

村上:ちゃんと察して、接している。

久富:はい。そういう気配りができる。

村上:(久富さんに)箕内さんを褒めさせたら日本一ですから(笑)。あと、自分がラグビーに取り組む上での信条、言葉とかでもいい、こういう思いを持ってやっていますというのはありますか。久富さん、なんか座右の銘とかあります?

久富:信条ですか……。自分は準備して準備してというのが苦手なタイプなので、前もって分析するとか、そのときに臨機応変に対応して、チームの状況、自分の状況を見て感じて対応しようとは思っていますけど。難しいですね。

村上:箕内さんは?

箕内:『ノーペイン・ノーゲイン』(苦労なくして得るものなし)ってよく言っていたんですけど、でも『エンジョイ』ですね、全て。きつい時もしんどい時もそれを楽しむ。日本語の『楽しむ』だとピンと来ないので、やっぱり『エンジョイ』ですね。それを考えることによってある程度余裕ができる。チームがトライ取られたとしても仕方がない、ギャーギャー言っても何も始まらないし、楽しむというのを頭に入れているからこそ、いろんなことを感じられるようになり、いろんな状況を見られるようになる。前向きにいろいろ考えるっていうのはプラスになるでしょうし、そういう余裕が必要かなと思います。練習中でも試合中でも常に、自分のプレーを楽しむというのも勿論のこと、チームと同じく戦っていること試合も楽しむというのがあるから、ここまでやれているのではないかと感じます。

ボールを触って育ってほしい

村上:ラグビー初心者の方、中級者の方、各段階ごとに、ラグビーをやる上でこれだけは必ずやっておいた方がいいということはありますか。練習とか、体づくりとか。

箕内:ボールに触った方がいいと思います。

村上:ラグビースクールの子供たちはできるだけボールに触った方がいい?

箕内:はい。僕は小さいころ、よく兄貴と一緒に公園に行って毎日ボールを触ってました。公園行ってラグビーをやることで人が集まってくるかもしれないし。「お前何やっているんだ」「これラグビーっていうんだ」みたいな、ちょっと普及活動にもなる。(笑)ウェートトレーニングするのも大事ですけど、小さいうちからウェートしても逆に体が大きくならないでしょうし、小さいときはひたすらボールを触った方がいいんじゃないかな。

久富:小さい時は、箕内さんがおっしゃったようにボール触った方が良いと思う。ボールを触るのが楽しいということを分かってもらった方がいいんじゃないかと思います。高校になれば、走り込んだりとかありますから。

村上:でも、子供のときに毎日肉体労働をしていたのもきっと良かったんですよね。

久富:それと、よく外で遊んでました。山とかでも遊んでいたので。

箕内:だからナチュラルに強いんだね。

村上:外で遊ぶのも大事ですよね。

箕内:そうですね。

村上:今、外で遊ばないから。

箕内:ニュージーランド人がそうですよね。昔は羊を追って暮らしてた。

村上:そうそう。家の酪農とかを手伝っていたから体が大きくなった。

箕内:特にウェイトをしないのにすごい腕力ですよね。

村上:久富選手もナチュラルなんですよね。ウェートトレーニングをする前から力は強かったでしょう。

久富:そうですね。ウェートはあまり好きじゃないです。

箕内:ブルソー(ハインリッヒ・ブルソー)と同じタイプ。

村上:ブルソーは(ウェート)好きじゃないの?

箕内:好きじゃないか分からないですけど、ガンガンやっているイメージはないです。チームから与えられたメニューと自主トレとしてやっていますけど。

村上:なんかナチュラルな感じしますよね。

箕内:腕っぷし、めちゃくちゃ強いです。

村上:そういう生活していたのかな。

箕内:じゃないですか。

村上:ちょっとレベル上がってくると走り込みですか。

久富:自分の仕事は走るのが基本なので。

村上:トップリーガーや日本代表になるため、夢を叶えるために一番大事なことはなんでしょうか。さっき言った『楽しむ』ことですか。

箕内:ですかね。

村上:ラグビーの夢は? ワールドカップ出たいとかなかったですか。

箕内:僕は小さい頃、「日本一になりたい」とか書いた記憶はあるんですけど、日本代表になってワールドカップというところまでは想像もついてなかったです。そこまで考えていなかった。

村上:まず目の前の目標ですね。目の前の試合で、自分が勝つことですもんね。それを重ねていったらということですよね。

箕内:目の前のことを真剣にやるというのは一番大事なんじゃないですか。

子供たちへのメッセージ

村上:同じことになりますけれども、ラグビーをやっている子供たちへのメッセージをいただいて、まとめましょうか。

箕内:ありきたりな答えになりますが、ラグビーを通じて仲間をいっぱいつくって楽しんで。

村上:なんかちょっとひねり足りないな。(笑)

箕内:メッセージですから。(笑)

村上:今ラグビーになかなか関わる機会が少ないじゃないですか。ラグビーの試合はめったに地上波ではやらないし、子供もラグビーを見る機会が少ないですよね。

箕内:親が見ないのもあるでしょうね。

箕内:今でこそジャパンも世界ランキング11位とか、世界の強豪国に勝つとか、スーパーラグビーに堀江翔太や田中史朗が出ているじゃないですか。10年前、20年前は、そんなの誰も想像してなかったんです。でも今の若い子は、将来の可能性を今以上に持っていると思う。2019年には日本でワールドカップがあるし、2020年には東京オリンピックがあるし、そういう舞台に立てる夢があるというのを信じて、一生懸命練習してほしいです。

村上:そうですよね。もしかしたら、20年後に日本人からオールブラックスが出るかもしれないですものね。

箕内:出るかもしれないですよね。どうなるか分からない。僕らが想像つかないようなことをやる若い選手がこれから出てくるでしょう。

村上:やっぱり世界に出た方がいいですか。

箕内:海外に行って成功する・失敗するかは別として、やっぱり経験してみるというのが非常に大事かと思います。小学校で行くのと、中学校や僕らぐらいの年代が行くのとではそれぞれ感じ方が違うでしょうけど。

村上:イギリスとか行ったら、日本よりももっと世界が広がりますか。

箕内:ラグビーへの理解が深い、ラグビーに人気がある国に行ったら盛り上がり方も違いますし、そういう中でラグビーをやれるのも幸せなことだと思います。もちろん日本もそうなってほしいですけれども、逆に言えば、そういう若い人たちが海外に出ることによって国内でも注目度も高まると思いますし、どんどん飛び出してほしいです。

久富:そのとおりです!

《おわり》

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村上晃一さん プロフィール


村上晃一さん

ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度西日本学生代表として東西対抗に出場。87年 4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。ラグビーマガジン、ナンバー(文藝春秋)などにラグビーについて寄稿。J SPORTSのラグビー解説も98年より継続中。99年、03年、07年、11年のワールドカップでは現地よりコメンテーターを務めた。著書に、「ラグビー愛好日記トークライブ集」(ベースボール・マガジン社)3巻、「仲間を信じて」(岩波ジュニア新書)などがある。

【ウェブアドレス】
ラグビー愛好日記(URL):
http://koichi-murakami.cocolog-nifty.com/loverugby/